2016年06月11日

松本〜美ヶ原〜草津〜松本その1

松本〜美ヶ原〜草津〜渋峠をやっている。

とりあえず本日が初日。



週間予報がズレて上手く初日は晴れてくれた。

このままどんどんズレてくれて雨が降らずに渋峠まで出来れば良いのだけれど。

まあ、雨のことはあまり考えずにいけるところまで行って、駄目なら電車で撤退すれば良い。

一日走れば駅はある。


美ヶ原高原を狙う場合、いくつかルートがあるようだが、ツールド美ヶ原でも使われる美鈴湖のルートを使った。

浅間温泉を抜けて美鈴湖へ。

林道で登ったところ実に素晴らしい斜度だった。

IMGP1452.JPG
浅間温泉は、まあ、長野によくある普通の温泉。

IMGP1459.JPG
写真でわかるほどの傾斜というのは、実際に登ると実にげんなりするほどの傾斜なのです。


山岳が多いルートなので装備を減らしてリア2バッグと着替えのみという軽装なので何とか登れたが、4バッグだと押し歩きだろう。

IMGP1471.JPG
美鈴湖の手前にツールドフランスの黄色い旗の小洒落たカフェが見えた。

ツールの旗が付いているなんて最高のカフェだなぁ、などと思って近付いてみると、イル・ピラータという店名。ピラータとは英語で言えばパイレーツ、海賊だ。長野の山奥に海賊?

いや、イル・ピラータと言えば、伝説のサイクリストマルコ・パンターニの愛称である。スキンヘッドで傍若無人なまでに強かった伝説のサイクリストだ。

IMGP1462.JPG
しゃくとり虫が自転車の上を歩いていた。
かわいい。

外で写真を撮っていると中から、

「おお、自転車の旅人だー!」

とおじさんたちが出てくる。


実はこれが少し困る。

何せ松本から出て来て小一時間ほどなのだ。

旅人というには少々違う気がする。

しかし、自転車はこれまでのアルゼンチンの旅やらを乗り越えているし、サイドバッグに関しては友人のオーストラリア横断にも貸したものなので、確かに二つの大陸を走っていて風格がある。

さらに山小屋勤務なんていう仕事柄、風体がまさに旅人のような雰囲気があるらしい。

実際、普段の生活の山小屋の方が自転車旅の日々よりラフだったりする。朝早いし、コンビニもないし、共同生活だし。ちょこちょこ肉体労働もあるし。無駄に休憩時間ジョギングしているし。

実際、僕を見た人の大半は日本一周の人と思っているだろう。

なぜか自転車にサイドバッグ=日本一周っていうイメージが日本では定着している。


旅をしていないのに、旅人と勘違いさせてしまうと何だか詐欺みたいで少し気がとがめる。

旅人って優しくしてもらえる。

でも、実は普通に仕事していて毎月六連休があって、アフリカへ向けて貯金も着々としているなんてのが事実なので、どこか気がとがめることもある。

IMGP1463.JPG
イル・ピラータにいた人々は昨晩から飲んで、そのまま店の中で泊まって、朝の珈琲を楽しんでいたところに、日本一周みたいな変なやつが外から写真を撮っていたというわけだ。

おじさんたちは松本ぽたりんぐクラブの人たちとのこと。

レース志向じゃない自転車を楽しもうというゆるい集団らしい。メーリングリストがあって、誰かがポタリングを企画して流して参加したい人が参加する。時にはMTBで雪のトレイルを走りに行くこともあるそうだ。会費なども特にない。

実に理想的な自転車愛好会だ。


「いや、実は旅人ってわけじゃないんです。冬になればアフリカに行こうと思ってはいるんですけど、今はあまり旅人じゃなくて、むしろさっき松本から出たばかりで」

などと珈琲をご馳走してもらいながら言うと、さらに喜んでくれた。

良いおじさんたちだ。

坂を登ってきたばかりでぼんやりした頭で話に加わりつつ。

僕も松本ぽたりんぐクラブの一員に入れてもらえた。ありがたい。

IMGP1465.JPG
「そろそろ帰らないと女房に叱られる」

というわけで、お開きになる頃、自転車の模型を見せてくれた。レトロなランドナーの手のひらに乗るくらいのサイズの模型だ。

おじさんたちの中に一人僕より少し若いくらいの人がいて、彼が紙で作ったそうだ。

フレームのラグなんかまで綺麗に作っていて、ブレーキはカンチじゃなくてセンタープルブレーキ。細かいところまでよく出来ていた。
IMGP1469.JPGIMGP1470.JPG

店の中には楽器があり、特にクラシックギターが目に付いた。見るからに良いクラシックギターだ。流れているのもレオ・ブローウェルの曲だった。

「僕もクラシックギター好きなんです」

とマスターに言うと、ライブしている時もあるから是非また遊びにおいでと、店のメーリングリストにも入れてもらえた。

IMGP1472.JPG
ちなみに店の前のマネキンがきているのは、パンターニのマイヨジョーヌレプリカ。


不意に縁があるものだ。

IMGP1481.JPG
ずんずんのぼる。
土曜日+二週間後にツールド美ヶ原とあって多くのサイクリストがいた。

IMGP1494.JPGIMGP1498.JPG
美鈴湖から登っているとツツジの綺麗な地帯に出た。

おじさんが道ばたでツツジを向いて座っていたので、
「こんにちは」
と声を掛けて話が始まった。


僕は誰とでも話すタイプの明るい気さくな性格というわけじゃないのだが、一人で黄昏れるおじさんというか、何となく声をかけてみたくなるようなおじさんというのはいるものだ。


ーー学生さんの旅かい?

ーーいや、山で働いてるんです。今日は雲で見えないですけど、槍です。

ーーほぉ。おじさんも水道管の仕事しとるで、時々、仕事で上高地の西糸屋さんに行ったりするで。

なんて具合で話が進む。

おじさんというか、正確にはおじいさんなのだが、山菜採りなんかが好きだそうで、自分でアレコレいじくったジムニーで里山なんかに入って、ぼんやり黄昏れたり山菜採りなんかするのだそうだ。

おじさんにも昔、山が大好きな友達がいたそうだ。

その人も自転車も好きだったそうだけれど、山で死んでしまったのだそうな。

ーー君みたいに無精ヒゲで日焼けしててね。

などと。どうも僕はその死んだ友人とかぶるそうだ。

ーー山が好きって連中は良いね。何というか細々してない。おじさんの死んだ友達ってのも本当良い奴だった。周りが結婚したりしていく中でも山が好きで仕事よりも山って感じでさ、段々と一人だけポツンと少し人とは違ってしまっていたけど、友達には優しくてさ。何だか独特の雰囲気があって良いやつだったなぁ。死ぬ前の時にさ、オレのとこ来て登山計画書のコピーを取らせてくれねぇかっていうから、ええよ、何枚いる?って。そしたら、何枚だかちゅうたけど、一枚いるか?って聞いてきて、いや、いらねーよ、どうせ、すぐ帰って来るんだろ?おお、まあ、そうだけどよ、なんてさ、そしたら死んじまって。あのとき、一枚もらっとけばえかったのかななんて考えたりもするけど、もらってたとしても助けに行けるわけもねぇしな。

そんな話をツツジを眺めながらのんびりと話した。

IMGP1502.JPGIMGP1509.JPGIMGP1520.JPGIMGP1518.JPG
美ヶ原高原までは長かった。

標高二千メートル以上は伊達じゃない。松本も標高千メートルほどはないにせよ、そこそこの標高なので、実際に登るのは千メートルちょっとだが、やはり二千メートルを越える峠は長い。

IMGP1522.JPG
一般車が進める最後のところにご飯も食べられるところがあって、そこで牛丼を。

IMGP1525.JPGIMGP1526.JPGIMGP1528.JPG
自転車はそのまま進めるので、王ヶ頭というピークを越えて、牧場の中のダートを走る。牛がかわいい。二千メートルの高原の中のダートに牛、海外のような雰囲気を味わえる。最高に素晴らしい。

晴れていると北アルプスが見渡せるのだからさらに素晴らしいのだろう。

一応、一般人には歩きの道なので、人とすれ違うときには降りる。自転車でダートを走ると石が横に飛ぶことがあるのだ。

IMGP1534.JPGIMGP1530.JPG
どこのパタゴニア?
なんて海外の道をほうふつとさせる。

IMGP1538.JPG
牛がかわいい。

IMGP1540.JPGIMGP1541.JPG
もう少し進んで美ヶ原高原美術館に着くと、もう三時半を過ぎていて。最終入館時間四時には微妙なので諦めた。

美ヶ原高原美術館は、屋外に現代アートを展示している。外側から見るだけでも面白そうだ。一日掛けてのんびり眺めていたい雰囲気が感じられる。

テントを張って、翌日入ろうかとも考えたが、まだ少々早過ぎるし、翌朝も十時の開館まで待つのも微妙なので上田方面に下山。

IMGP1545.JPG
自転車で走っていると時々遭遇するファンキーな看板。
まったく内容の意味も分からないし、存在する意味も分からない。
そのくせ手が込んでいる。

IMGP1548.JPG
上田より少し東まで進んだ道の駅にて本日は終了。

雷電の里とか何とか言う名前のところだ。

綺麗な新しいところで24時間使える休憩室もある。寝転がれる場所はないが、椅子と机もある。

外にちょっとした広場もあるのでテントも張りやすい。すぐ隣が高速なので少し車の音はうるさいが。

キャンピングカーもいるし、テントを張ってるオートバイ乗りも一人いるので、どうやら人気の道の駅なんだろう。

こういう道の駅は助かる。


空気が湿っていて、低気圧の感じがする。煙草の煙もふわっと上に上がらず落ちてしまうところを見ると、やはり明日の天気は厳しそうだ。

まあ、草津まで行けたら万歳と行ったところか。

草津で湯につかって、キャンプ場か道の駅に一泊して、三日目に長野か上田辺りまで戻って、電車で松本まで戻れると良い。

何とか草津に着くまで天気がもってくれると助かるんだけど、ちょっと難しいだろうか。

まあ、明日考えよう。


良い一日だった。


そんなこんな。

posted by じてぼん。 at 21:16 | 自転車 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする