2016年11月18日

松本岡山、完。ありがとうございました。

松本岡山9日目。
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写真は神戸港にて、高松行きのフェリー待ち。
一日数本しか便がないので、時間を調べてからじゃないと結構待つことになる。

今は高松港にて岡山に向かうフェリーを待っている。
僕が学生だった頃は24時間、30分おきに出ていたが、瀬戸大橋の勢いに勝てないのか、今は八時発の便が最終だそうだ。


今日は実質、大阪から神戸だけの走行だった。やはり都市部は疲れる。あと、今日は思い出にひたっていた。


大阪と神戸の間には西ノ宮がある。西ノ宮は幼少時代を過ごした町で、地震があって少ししてから転校して去った。
西ノ宮を通るときはほんの少しだけ寄ることにしている。

幼少の頃の町なので知り合いはいない。
いや、一人まだいるかもしれない。げんちゃん。ただ、げんちゃんももう結婚しているだろうし、幼少というのも実に小学生低学年までのことだから、連絡先も知らないし、会ってもお互い分からないだろう。


阪神香櫨園駅から夙川が伸びている。川沿いに公園がある。川沿いに駅から二号線まで伸びている細長い公園で、幼い頃の思い出では結構広いと思っていたけれど、大人になって自転車で通るとすぐに二号線に出てしまった。
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西宮えびす神社、通称えべっさん。
幼いころにはよくわかっていなかったが立派できれいな神社だ。

イルヤが住んでいた御影も通る。イルヤとは親同士が仲が良くて長い付き合いだった。中学になっても時々遊びに行ってたくらいだ。
イルヤは大阪大学で量子力学なんかを専攻して院まで出て、今は日本の中で恐らく一番給料の高い会社にいる。30歳で平均年収が一千万円を軽く越えるという一般企業としては尋常じゃない一流企業だ。
イルヤから聞いたところ、通勤で外車じゃないと馬鹿にされるというほどだ。
激務ということでも有名だ。

僕は半端な一流企業サラリーマンは好きじゃない。ただ、イルヤみたいに常軌を逸した一流は好きだ。


イルヤは大学生の頃からハーレーダビッドソンが好きで、いずれ海外も走りたいと言っていた。先にバリバリ働いて金とキャリア作って、後からのんびりしたいのだ、と。
僕とは真逆かもしれない。僕は先に遊び尽くして、そこで得た物で何か面白い仕事を作り出したいと考えている。
単純に組織に所属するのが苦手ということもあろう。


イルヤのように恐ろしく仕事が出来るヤツ、スゴいヤツっていうのは、多分、先にバリバリ働くのが良いと思う。
僕の自転車仲間でササヤマさんというおじいちゃんがいるが、このおじいちゃん、60を過ぎてパタゴニアや中央アジアを走ってきたりする。パタゴニアもそうだが、中央アジアの高地も自然の厳しい地域ですごく難易度が高い。
ササヤマさんはスーパーおじいちゃんなのだ。心から尊敬している。


そんなササヤマさんも先にバリバリ働いてから、好きなことをするようになった人だ。


若い頃から遊ぶ人間は珍しいかもしれない。
もちろん、僕より若くして世界一周に出発する人もいる。
死ぬほど働いて、そのお金で行くのだ。

本当にそういうヤツらは死ぬほど働くし、死ぬほど節約して生活する。

僕なんかは割と緩くて、ちょくちょくジャズバーみたいに金のかかるような遊びもする。

まあ、自転車乗りの中でも変わり種だろう。
いや、海外自転車乗りは全員何かしら変わり種か。笑


イルヤが海外をオートバイで走る日が来るかは分からない。別に走らなくても良いと思う。多分、イルヤなら何をしていてもパワフルで面白いことをしているだろう。
でも、海外を二輪で走るのはとても面白いので是非いつの日か海外のどこかの道の上で会えたらなと思う。


つまるところパワーだと思うのだ。
海外を走りに行ったり、日本国内でも長期で自転車で旅をするっていうのは、パワーがいる。
生きる力だ。

たとえば一ヶ月どこかを走るにしたって、普通の仕事じゃ一ヶ月の休みはもらえない。
辞めるか、会社に納得させて特例で休職させてもらうなり。
とにかくリスクは大きい。

学生の内にするとしたら、今度は金の問題がある。
僕みたいにふらふらするにしても稼ぎは悪いから金の問題が出て来る。


長期の旅行をするっていうのは、長期の時間とその金を作るっていうのが前提条件なのだ。


そして、二輪はつらい。
やっぱりしんどいのはしんどい。
怖い。
海外の場合、二輪は観光地じゃない土地も走ることになるので、いろいろ難しいこともある。


まあ、終わってしまえば、
「ああ、まあ、ペダル踏むだけ、走るだけ。疲れたら眠って、飯食って、また走るだけ。簡単だよ」
なんて話になるんだけれど、それは終わってしまえばっていう話だけど。

やはり生きる力が必要な営みだ。


フェリーには風呂が付いている。
基本的にはトラックの運ちゃん専用なのだが、岡山香川のフェリーは瀬戸大橋が出来てから赤字続きでガラガラなので、一般の人も利用できる。
岡山香川のフェリーは距離も短いので船自体小さいが、風呂は三人くらいは問題なく入れるサイズのものが付いている。六人はいっぱいいっぱいだろう。


大きなイレズミの入ったおじいさんが入っていた。
長距離トラックの運ちゃんで昔話をいろいろしてもらった。
長距離トラックの運ちゃんたちにとってフェリーの風呂はとても貴重だったそうだ。とにかくトラックで日々を過ごす。積み下ろし以外はトラック。宿に泊まっても、会社から宿泊費などは出ないそうだから、いかに節約するか。
ガソリンスタンドなどでトラックドライバー専用のシャワーを浴びれる施設はちょくちょくあるそうだが、風呂となるとなかなか無いそうだ。

一時間のフェリーでの風呂は本当にありがたいのだそうだ。

しかし、今はもうみんな瀬戸大橋になった。確かに瀬戸大橋を飛ばして行って、どこかで風呂に入る方が楽なのだ。時間的にも早い。
ただ、当然ながら自腹で払うことになる。


瀬戸大橋が出来たからというのもあるだろうけれど、恐らく時代の変化もあるのだろう。みんな清潔になった。フェリーのせまい風呂をあまりありがたいと思わなくなったのかもしれない。
早く家に帰って家族に会いたいのもあるかもしれない。

瀬戸大橋がなかったころを経験している人にはフェリーも苦ではないけれど、それを知らない世代にはフェリーの風呂は別段ありがたいものでもないのかもしれない。


長距離トラックの運ちゃんには哲学がある。
孤独な仕事だ。
一人きりでずっとトラックを走らせて、重い荷物を積み込んで、トラックで眠り、高速のパーキングで飯を食う。
週に一度家に帰れれば良い。

そういう暮らしには哲学がある。


岡山の平田食事センターの話も出た。
通称、ヒラショク。二号線沿いにある。駐車場が広くいつも大きなトラックが何台も止まっていたけれど、つぶれてしまった。
昔はドライバーはみんな平田食事センターに寄っていたんだそうだ。
「飯も味噌汁も大盛りだからなぁ」
「ゲームもあるしよぉ」
それから、少し小さな声で、
「あそこで女の子呼んで遊ぶってのがみんな一番の贅沢だったわなぁ」
確かに言われると、ヒラショクは二号線でも市街地から外れたところにあるのに、近くにホテルが多かった。


多分、玉野まで高速がつながっていればフェリーはさびれなかったろう。そして、玉野に行けばヒラショクに寄る。


瀬戸大橋はやはり格段に便利にしてくれた。
だからこそ、寂れたものも多い。


昔は良かったは言わないことにしている。いかに昔が良くっても、「ああ、あの頃もすごい楽しかったし、確かに良かったな」くらいは言うにせよ、「今はすっかりダメで昔に戻りたい」ってのは、僕の中でルール違反にしている。

ちょくちょくルールを破ることはある。


昔も良かった。今も良い。比べるべき物ではない。


少し力がなくなってもいたけれど、少しずつ取り戻しつつある。
正直、アフリカは不安だった。
それで、今回の足試し、野宿の日々への適応力を試してみたのだ。


テスト走行。
しかし、テストは良い意味で期待を裏切られた。

豪華なルートだ。
紅葉の飛騨から、日本海越前海岸、琵琶湖、そして島がポツリポツリ浮かぶ瀬戸内海を優雅に船に乗って帰って来る。

日本の良さなんて知ってるつもりだったのに、今回は圧倒された。
日本の良さ、自転車の良さ。
「あれ、こんなに良かったっけ?すごすぎるだろ!」
そういうのがほぼ毎日独り言に出る。


昔の友が港まで迎えに来てくれた。
仕事も家庭もあるのに。
おかげで一夜をテントじゃなく、実家の布団で過ごせる。
あれこれ事情もあろうに、遊びまくって帰ってきた僕のために、仕事帰りにまっすぐに直行して迎えに来てくれた。
もちろん、眠そうだ。仕事で疲れている。
僕は一方的に話す。時々、面白くないかもなと思う。でも、面白いと思いながら聞いてくれている。


昔の友はやはり良い。
今の友は当然良い。

明日から先も良い友を作れるような生き方をしていたい。


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次回、アフリカ編は12月下旬からの予定です。

アフリカのネット環境にもよるのですが、出来れば写真を添えて送りたいと思いますが、難しければ文だけのライブになるかもしれません。

この自転車と本でやろうと思います。

Facebookページで更新を自動でチェック出来るようにもしています。Facebookで自転車と本で検索してもらって、ページにいいねしてもらうか、フォローしてもらえば楽に読めるかと思います。


今回もありがとうございました。

人によって旅の気力って違いますが、どんな人も共通するのは応援してくれる人、この旅は面白いなと思ってくれる人の存在っていうのは大きいでしょう。もちろん、人気取りのためにやるわけじゃないんです。

ただ、素直に嬉しい。

自分が良いなと思う世界を、共感してくれる人が一人でもいるのはとても嬉しい。


僕はさほど心の強い人間でもなく、かといって弱くもないにせよ、やはり人の応援っていうのは一番の力になるんだな、って今回は改めて感じました。


今後もよろしくお願いします。

ありがとうございました。


「松本岡山2016」完

posted by じてぼん。 at 03:20 | 自転車旅 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする