2016年11月30日

東尋坊の見える道。

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2016.JP.FUKUI.TOJINBO

東尋坊には思い出がある。
大して良い観光地でもない。
安っぽい古びた露店が並んでいて、風流さなんかと駆け離れたような。
あまり良いとは言いがたい雰囲気がある。
ただ、東尋坊には思い出がある。

自転車をこいでいる中で、物書きを志す同年代の自転車乗りに生まれて初めて出会った海だ。
彼は今は故郷の北海道でサラリーマンをしているそうだ。

思い出なんかにしんみりしながら、ふとそんなことを考えて、彼に数年ぶりに連絡してみた。
「生まれて初めて恋人ができて来月から同棲するんだ」
素朴で女っ気のないまじめな男だった。
仕事は大変みたいだったが、希望にあふれたとても良い返事だった。
小説もまだ書いていた。

それぞれにやり方がある。
僕には僕で、彼には彼で。

思い出と現在は変わっていく。
変わって良いものもあるし、中には悲しいものもある。

東尋坊はいまいちな観光地だけれど、
その道中の景色を眺めながら、思い出の男に連絡してみて、
なんだかえらく良い景色だなと思った。

東尋坊.png

自転車と道のある写真に添える文というシリーズを不意に始めてみることにした。
初回は東尋坊の見える道。

東尋坊なんていうのは、名前の割にそんなでもない。
そのくせ、そんなでもある。

良い海のある道というのは日本にいくつもある。
さすがの島国。
それにしても大して広くもないくせに、海の表情に関しては恐ろしく多い。

東尋坊は要は岩がごつごつした海辺だ。
ごつごつがたまらない。
東尋坊のみならず、日本海に面した福井県の越前海岸のごつごつした感じというのは言いようがなく美しい。

いまいちな観光地などと書いてみたものの。
そのイマイチさが、ものすごくしっくり来る。
逆に若い子たちの間でものすごく人気の旅行スポットなんかになってしまったら、今の東尋坊の持つ良さは失われてしまうのかもしれない。
日本海の良さというか。

走るというだけで言えば、わざわざ東尋坊によらずとも、越前海岸を走るだけでも十分にごつごつした日本海の良さは感じることが出来てしまう。
でも、不思議と僕のカメラにあった一番良い日本海の絵っていうのは、少し離れたところから見る東尋坊の絵だった。
走っていると気付かなかっただけで、やっぱり東尋坊って越前海画院の中でも最も美しい場所なんだろうか、などと考えたりしつつ。

友人の前途が明るいことを切に願う。

自転車のある道って良い。
そんなこんな。

タグ:自転車 写真
posted by じてぼん。 at 00:57 | 自転車のある道 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする