2019年10月06日

最後の走行会。

お客さんと最後の走行会をやってきた。
自転車屋さん店長として最後の走行会となった。

自分で言うのも何だが。
僕の走行会は結構良い。
まず平和だ。
速い遅いとかは一切なし。
でも、走るコースはきちんと登りがあって、正統派サイクリングというルートだ。
でも、走っている時間と同じくらいパン屋でだべる。
ちょっとだべり過ぎじゃない、ってくらい。
基本、気楽に参加できるし、しんどくないし、かと言ってダラダラし過ぎてつまらないということもない。
そして、みんな知らない人同士なので、変なしがらみもない。
純粋に自転車好きが集まって、自転車を楽しんで、お茶して話して帰る。

テーマは休日の朝の良き大人の趣味の時間である。
ルールは大人として紳士的にお互いに接すること。
交通マナーを守ること。
事故をしないこと。
そのくらい。

でも、主催者の僕自身は割といつも眠そうにしているし、やる気があるかと聞かれると、正直なところ、もう少しハードなルートを走りたいと思うこともあれば、人と一緒に走るのも好きだけど、一人で黙々と走るっていう方がこれまでずっとやってきたことだし、僕にとっての自転車とは一人で黙々と走るものっていうのがあったりして。
そもそも、集団でなにかするって得意じゃないというのもあって。
実は走行会とかするタイプの人間じゃないようにも思う。

むしろ、それが丁度良かったのかもしれないと自分では思っている。

つまりは自分のためにしていない。
仕事としてお客さんたちのために開催していた。
もちろん、自分自身も楽しんではいたけれど。
それでも、自分自身が楽しむという意味でなら、朝に一人で起きて裏山を登りに行ってシャワーを浴びてコーヒーを飲んで出勤するっていう方が好きではある。
何人も集まって走る。
本当に数カ月に一回くらいで良いと思っている。
せいぜい、2,3人くらいで良い。
そういう僕が主催する会は丁度バランスが取れていたんじゃないかと思うのだ。

でも、いざ最後の走行会が終わると、次の仕事の土地で何か走行会なり、一緒に走りに行く仲間がいないということは寂しく思う。
新しい土地には仲間はいない。
知人もいない。
職場の人が良い人だと良いなとは思うけど、それを期待しても仕方ない。

人間関係とは自分で作っていかないといけない。
まあ、そんなわけで新しい土地でも走行会をしてみようかななどと思っている。
自転車屋じゃないし、だれか一緒に走ってくれる人のアテもないけれど。
インターネットが便利な時代だし、一緒に走る人を募ってみようかな、と。

要は僕は気付けば走行会っていうのが好きになっていたのかもしれない。
誰かと走ってお茶するっていうことが。
日々の小難しいこと抜きにして、一緒に走って、ちょっと世間話をするような仲間がいれば良いな、と。

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僕が自転車業界にいた間にショップの開く走行会って減ったように思う。
昔はプロショップってだいたいどこでも走行会ってやっていたように思う。
ショップのおっさんとお客さんが割と真剣に走る会っていうのが結構あった気がする。
それが近年減ったように思う。
僕のいたショップも昔より走行会は減ったように思う。

僕が自転車業界にいたのは長くはない。
20代のうちの5年ほどだ。
途中で旅に出たり、山小屋に行ったりしていたからね。
そういう業界から離れた期間も含めると10年弱ほどだけだが、業界の変遷を見てきた。そんなに長くもない。
それでも、そんなに長くもない期間のうちに業界はいくらか変わったように思う。

まず、小さいショップが元気がなくなったように思う。
大手メーカーはたくさん買ってくれる、売ってくれる小売店を大事にするので、小さいショップは大手メーカーとの取引がしづらくなったのかもしれない。
メーカー直営店だったり、高額なフィッティングマシーンを置いているような他店舗展開している店の方が強くなった。

走行会って小さい店の戦略だと思う。
ヘビーユーザーの常連さんを増やして、長期的に安定した売上を作るっていう。
走行会で一緒に走っていると情も湧く。
せっかくだから、あそこの店で買ってあげようかな、とか。
逆に、お店としてもあの人には良くしてあげなきゃな、とか。
年に一回オーバーホールをしてくれて、タイヤを1セット買い替えてくれるお客さんって、年間5万円の売上を作ってくれる。
極端な話、そういう常連さんが100人いれば、それだけで年間の売上500万は確定するわけだ。
もちろん、他にも新規で車体を買ってくれるお客さんもいる。
でも、新規のお客さんの数って読めない。景気にも左右される。
だから、小さい店にとって走行会で親しい常連さんをきちんと作るってとても重要なのだ。

大きいお店は走行会をして常連を作っていくのも大事だけど、どちらかと言えば、いかに一見さんを取っていくかが大事で。
そういうのって在庫量、安さ、店への入りやすさっていう方が重要だ。
極端な話、ロードバイクを一台売って、その後のアフターの修理や点検なんかを考えると、クロスバイクを3台売る方が商売としては良い。

大きいお店が走行会をするのは、常連さんを作るという目的もあるけれど、初心者フレンドリーな走り方講習会をやっていますよ、っていうイメージ戦略の方が大きい。
もちろん、小さいお店でも走行会をすることで「こういうイベントもしてますよ」っていうイメージ戦略の要素はある。

それでも、小さい店は来るお客さんの数は限られているし、組付けの時間などの問題もあるので、台数をたくさん売れるわけではない。
どうしても新規のお客さんを取れる数って限られてくる。

そういうことを踏まえて、商売として走行会を考えると、非常に効率が悪いのだ。
僕のしていた走行会の場合、朝に2〜3時間程度走りに行く。
これを月に2,3回、多いときは毎週やってることもある。
もちろん、朝、一緒に走ったからってイコール売上ではない。参加費などはないので。
その日の売上はお店に戻った後の仕事で作る。
なので仕事前から走りに行って、参加したお客さんたちが気まずさなど感じないよう全員に声をかけたり、気を使ったりしても、店に戻ったらフルタイムで働くことになる。
これ、結構な労力なのだ。
好きじゃないとやってられない。
なので、会社の方も走行会については強制はしない。
単純に自分が店長をしている店は、素敵な自転車屋さんとして、誇りを持って仕事をしていたかったし、
単純にお客さんと一緒に走りに行くのは楽しかった。
自分の店で買ってくれた自転車で楽しそうに走ってくれるのは、とても満足感がある。

でも、商売としては正直あんまり良くはない。
特に僕の場合、店長だったので、店長が日曜日の開店前に走って、疲労困憊で帰ってくるっていうのは、正直、美味しい話じゃない。
店内で一番仕事ができる人間、一番売れる人間が店長なのだから、正直、もったいないところもある。
まあ、疲れないように鍛えれば良いだけの話ではあるけど。まあ、やっぱり疲れる。友達と遊びで走りに行くんじゃなくて、お客様をツアーに連れていくという立場なので気も使う。

そんなわけで、僕は走行会については手当などの給料も出なかったし、むしろパンとコーヒー代は自腹を切るのでマイナスだった。
まあ、会社としては健全な判断だろう。
してもしなくても、さほど大きく売上が変わるわけでもないのだから。
むしろ、走行会なんかするなら別のことをして売上を出せって話である。

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でも、僕は結構走行会が好きになった。
休日の朝にしゃきっと起きて自転車乗って、同じ趣味の人が集まって遊ぶ。

高校生や大学生は夜に集まって暴走族したり、麻雀したり、ファミレスでたむろして遊ぶが。
大人になれば、いろいろとやることもある。
特に家庭を持てば、休日だっていろいろやることがあるのだ。

だから、大人の趣味は休日の朝にしゃきっと起きて、爽やかに遊ぶのが良い。

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一人きりで生きて帰れるんだか分からない異国を一人きりで走るのが好きだった若者も、年を取ったんだろう。

家族のために転職する。
転職資金のためにメインで乗っていたロードバイクも売り飛ばした。
(その後、偶然が重なって、運良く別のロードバイクが手に入る機会があったので助かったが)

そうやってどんどんと進んでいく人生を一生懸命に生きていくしかないのだ。
そして、そういうのも結構楽しいものだ。
そのときに出来る一番の遊びを一生懸命やりながら、仕事や生活やいろいろ一生懸命やっていきながら。

走行会楽しかったな。
まあ、また走行会やろう。

そんなこんな。

posted by じてぼん。 at 23:20 | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする