2019年10月10日

かもめのジョナサンとワラーチのソールの厚さのこと。

『もしこのスピードで両翼をひろげたら、たちまち爆発して何万というカモメの切れはしになってしまうだろう。それを考えて彼は思わず息をのんだ。だが、彼にとってスピードは力だった。スピードは歓びだった。そしてそれは純粋な美ですらあったのだ。』

リチャード・バック「かもめのジョナサン」より



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今日はかもめのジョナサン、走る会、新しいワラーチを自作したこと。


最近、久し振りにかもめのジョナサンを読んでいる。

ジョナサン・リビングストン、もう主人公のかもめが名前からしてかっこいい。


かもめのジョナサンは人によっては全く響かない単なるおとぎ話だが、響く人には響く。

人生のバイブルと言う人もいる。

かくいう僕はバイブルとまでは言わないが、まあ、それでもバイブル的なところはある。


あらすじはシンプルなもので。

普通のかもめはエサのためにしか飛ばない。しかし、ジョナサンは飛ぶために飛ぶ。親にも叱られる。もっと普通のかもめらしくしなさいって。まあ、それなら普通にしてみようかなと思ったりもするけど、やっぱりすぐに飽きてしまう。ただ、エサのために飛ぶのはつまらない。

そんなジョナサン、ある日、とてつもない速さに挑戦しようと急滑降を試みる。でも、失敗して海面に激突する。

海面に漂って夜に気が付いたジョナサン。体中が痛い。やっぱりオレもタダのかもめ、速く飛んだりするように出来てないんだ、普通のかもめに戻ろう。そう思って巣へと飛んでいくのだが、ふと閃いてしまう。閃いた途端試すのがジョナサンだ。さっき墜落して死にそうになったのに、ぐんぐん高度を上げて、また急滑降を試みる。


冒頭の引用はここのシーンだ。

あらすじだけ書くとジョナサンの勇気が分かりにくい。こういう急滑降のときの描写などがスリリングでたまらない。

飛ぶ描写としては、森博嗣の「スカイクロラ」なんかも素晴らしいのだが、かもめのジョナサンの飛行の描写も素晴らしい。


もちろん、話としてはその後も続く。

上手く超スピード、かもめの限界を突破したジョナサン。

しかし、巣に戻ると仲間たちに変なかもめ、恥として孤独の崖へと追放されてしまう。

危険な飛行をしたくらいで追放される集団というのもひどい話しのようだが、実際、集団とはそんなものだ。夢を追って何かをしようとする人間に冷たいということは往々にしてある。

ジョナサンは孤独の崖で延々と練習する。

そうこうしてると金色のかもめになって、神のかもめの世界に行って、さらなるスーパー飛行術を覚える。

ある日、ジョナサンは帰ることにする。

神のかもめたちは、群れに戻っても君の飛行術を誉めてくれるどころか、また彼らは君を追放するかもしれないと言って引き止めるがジョナサンは帰ることにする。


まあ、その後も少々あるのだが、金色のかもめになった辺りで話としては山を越えるので後は割愛する。もちろん、最後まで読む方が楽しいのだが。


かもめのジョナサンは何回読んでも勇気をもらえる。

ジョナサンみたいに立派なことをするわけじゃないにせよ、生きていると、自分が正しいと思うことを貫けるかってとても大事なことだ。

そのためには孤独になってしまうこともあるかもしれない。

それでも、自分の美学を守って貫けるっていうのは本当に価値のあることであり、孤独で応援してくれる人もいないように感じる時でも、正しいと感じることを貫くということ。


かもめのジョナサンには勇気がある。美学がある。

そして、シンプルなストーリーなのだが、読者を引き込む描写力があり、文学作品としても質が高い。


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「店長、辞めて引っ越す前に遊びに来て下さいよ」

馴染みのお客さんからチームの走行会に誘ってもらえたので参加させてもらったところ、非常に楽しかった。

そのチームは週に二回、平日の朝6時半から1時間ちょっと走りに行く。


起きると秋の冷気のある朝だった。

久し振りにベストをタンスから引っ張り出して。

三人は仕事前、一人は夜勤明け。

僕の方は水曜の休日の朝。

みんなすごい。


コースは登りのルートをタイムアタックする。

速い。

さすがに週二で朝走っているおじさんたち。

僕の方はダメだ。まったくついていけない。

実際にはレースのタイムとしては同じくらいなのだが、継続して練習してる人たちと、練習していない人間だとやはりさっぱり違う。

僕の方は榛名のヒルクライムが五月にあって、それからロクに峠を走っていない。特に今年は妻の妊娠もあって、休日もあまり自転車で出かけず妻とのんびり過ごすことが多かった。

30分のワラーチランニングはするものの、ヒルクライムほど息が切れるような運動ってしていない。

改めてレーススピードで走ると、ロードバイクってこんなにハードなスポーツだったのかと。


それにしても、良いおじさんたちだった。

良き自転車乗りとは、シンプルだ。

一緒に走って気持ちよければそれが全てだ。

店長として店の走行会を引っ張るのではなく、一参加者としてお邪魔させてもらう走行会。自分が追い付けない速さの人たち。

そういうのって、すごく楽しくて気持ち良かった。


ーー店長、いよいよもう少しになっちゃいましたね。せっかく店も良い雰囲気になってきたのに残念です。

そう言ってもらえるとありがたいが、申し訳なさもある。

そうは言っても、みんなそれぞれに人生がある。仕方がないのだ。

仕方がないをいくつ繰り返したら望む人生に辿り着くのだろう。


羊羹とアイスコーヒーをご馳走になって帰った。


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ビルケンのサンダルのソールをひっぺがしてワラーチに

帰宅後、妻がモーニングを食べに外出したいということで少し出掛けたりして。


ベランダにあるビルケンのサンダルがズタボロになっていたので、ソールをひっぺかしてワラーチにした。

一部はがれかけていたので、後は引っ張るとベリベリっとはがれた。


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ちょっと厚みの違うワラーチでも人間の足裏って意外とわかるものだな


前のワラーチのソールが3か4mmで今回のは7mmくらい。倍くらい分厚い。

走ってみると、分厚くなった分、足の裏が痛くないのでかなり快調だった。

ただ、少々固い感じはする。

クッション性については大差ないのだが、ソール自体が固い感じがする。薄い方は本当にペラペラなのでソールの硬さって全く考えたこともなかったのだが。


人間の足ってこういうところすごい。

数ミリのソールの差を明確に感じる。

まあ、薄い方が本当に薄々で足の裏が痛いってのはあるにせよ、ソールの硬さっていうのがちゃんと分かる。


分厚くなると単純に痛くない。小石を踏んでも痛くない。小石にびびらず走れるので、かなりペースを上げられた。それこそ、普通の靴と変わらないペースで走れた。

そうは言っても普通の靴のようなクッションはない。


それでも、最近は普通のランニングシューズで走ると靴底がふにゃふにゃで足が不安定な感じがして嫌だ。気持ち悪いのだ。どこで体重を取れば良いか分かりにくい。

それこそ、ワラーチで走るまで気付きさえしなかったが、足裏のどこから着地するか、どこで地面を捉えて体重を支えているか。そういうのが普通のランニングシューズは分からないのだ。

クッション性の良いソール素材ってのもあるし、大抵のランニングシューズは踵が分厚い。(アルトラのゼロドロップみたいにフラットなシューズもあるにはある)


地面にダイレクトに接地する感じっていうのは走る上で大事だ。


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薄いソールの方が裸足ランニングっていう感はある


薄いソールの方から始めたのは、この点、正解だった。

たしかに分厚いソールは簡単に走れるのだが、多分、いきなり分厚いソールで始めていたら、足を故障していたかもしれない。


薄いソールは小さい小石でさえ痛い。慣れてもそれなりに痛い。それでも、あまり痛くないようにはなってくる。足の裏の感覚が慣れてくるということもたるが、重心の入れ方、着地の仕方にコツがある。

意外かもしれないが、走るより歩く方が痛い。歩く方が着地している時間が長いせいだろうか。理由は分からないが、うまく走れるようになると歩く方が足裏は痛くなってくる。


薄いソールの方でも最初の頃、調子に乗って急に距離を伸ばしすぎてアキレス腱を痛めて2週間ほど歩くのも痛かった。

恐らく分厚いソールでやっていたら足裏が痛くないからと言ってもっと距離も速度も出していただろうから、一発アウトだったかもしれない。


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簡単に自作できるman3dalsワラーチ


ワラーチの中でもman3dals(マンサンダルズ)というのを使っているのだが、これ、とても簡単に作れるのだ。
ちなみに厳密にはman3dalsとワラーチは違うんだけど、そのことは後で書く。

自作するのに必要なのはソールとヒモと穴あけポンチくらい。あとはハサミとペンか。

足の方にソールを切って、穴を開けてヒモを通すだけだ。詳しい作り方はFacebookでman3dalsのコミュニティに入ると見られるようになっている。ヒモの通し方なんかもかなり丁寧に図解されている。YouTubeなんかでも見つかると思う。

ワラーチではソールとヒモが非常に大事だ。

人気があるのはヴィブラムシート。厚みの種類もいくつかある。暑さ7mmくらいがスタンダード。Amazonで手に入る。
あとはビルケンのソールも人気がある。
今回の僕の場合、ちょうどボロボロになった捨てるビルケンがあったけど、普通は単品で買う。man3dalsの公式オンラインショップでも売っている。


今度、引っ越す先は八ヶ岳の麓なのでトレイルもどんどん走ってみようと思っている。
トレイルならやはりヴィブラムが良さそうだなと思うので、また機を見て自作しよう。


ヒモについてはパラコードというアウトドア用品を使う。元はパラシュート用コードらしい。そこそこ頑丈でしなやかである。

ただ、パラコードも種類があるみたいだ。
今回はモンベルで買ってみたのだが固い。使っているうちに馴染んでくるだろうが、ちょっと失敗。

やっぱりman3dals推奨のパラコードか間違いないらしい。


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裸足を目指すman3dals。足裏を保護するためのワラーチ


ソールの厚みについては難しいところだ。


man3dalsは最終的には裸足で走れるようにするためのものだ。裸足に近いサンダルであり、ゴールは完全なベアフットランニングま。坂田満さんが開発したのでマンサンダルズなのだ。

靴からの脱却、人間本来の歩き方である裸足への回帰をゴールにしている。

実際man3dalsの坂田満さん自身、「man3dalsはサンダルという名の裸足である」とも言っている。

あぐでゴールは裸足である。


対して元々のワラーチは、メキシコの走る民族、タラウマラ族が使う履物だ。本来のワラーチは廃棄タイヤを切り取ってヒモで足に巻き付ける。アフリカなんかでも廃棄のタイヤでサンダルを作って売っているのは時々見かけたが、考え方は同じである。

要は靴がない代わりに、足の裏を保護するための履物である。

日本の飛脚が草鞋を履いていたのと同じだ。

裸足より速く安全に走るための履物なのだ。

ちなみにタラウマラ族に普通のランニングシューズを履かせるとあまり速く走れないらしい。

昔ながらのワラーチを履く奥深くに住む伝統的なタラウマラ族だけが今も速いそうな。


ワラーチとman3dalsは外見は似ているが、ゴールが違う。


man3dalsはサンダルのソールを足裏に密着させない。

対してワラーチ、日本の飛脚の草鞋はガッチリ結んで密着させる。

man3dals愛好家の間では、これをゆるふわりんと呼ぶ。ゆるふわりんなので足裏とソールが一瞬離れる。


要は石など落ちていない綺麗な地面、それこそ陸上用のゴムのトラックの上なら誰でも簡単に裸足で走れる。

これがどこでも実現すれば素晴らしい。

man3dalsは一瞬足裏とソールが離れて、着地の時にだけ接する、要は足の裏のほんの少し下で一緒に動き続ける綺麗な地面という考え方なのだ。

あくまでゴールは裸足なのだ。


対するワラーチ、草鞋は裸足で走ることにこだわってはいない。早く安全に走るために足裏を保護するための履物なので、ぶらぶら動いてしまうよりガッチリ固定する。ぶらぶらしてると小石なんかが間に入ったりもする。


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どちらが正しいということもないのだが。

完全に裸足で走る必要があるかといえば、僕はノーだと思っている。


確かに裸足で走るって気持ち良いのは事実だ。
最近ではアーシングと言って、地面を流れる自然の電気が体の中を通るのは体に良いとかも言われたりもする。
人間本来の走り方という哲学的な意味で考えても、やはり完全に裸足というのは大事ではある。


ただ、現実問題として、飛脚は基本的に草鞋を履いていたし、タラウマラ族も基本的に裸足ではなくワラーチを履いている。

ある程度の速さで遠くに走ろうと思うと、やはり足裏は保護した方が有利なのだろう。


あくまで自論だが、ベアフットランニングが良いのは、裸足での足裏への刺激よりも、シューズの底の不要なクッションを無くすことで正しい着地、走り方のフォームを覚えることだろう。

走り方、歩き方が正しい人間本来の形になれば、自然とその他の姿勢、立ったり、座ったりもよくなるだろう。


こういったことを考えると、個人的には無理して足裏が痛いのを我慢して完全な裸足にこだわる必要はないんじゃないかと思う。
とにかくソールの不要なクッションがなくなるということが大事だと思う。

じゃあ、薄ワラーチより、ある程度厚みのあるワラーチの方が良いのかというと、
やはり薄ワラーチの方が実際に使うと地面の感触が気持ち良いのだ。

ただ、やはり薄ワラーチだとトレイルだと小石が痛い。
夜暗い中を走るにしても、路面に落ちているものが見えない中走ると痛いことがある。
そういう場合はやはりちょっと厚いビルケンのソールの方が便利ではある。


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あとはアッパーだ。
アッパーっていうと靴の上側のことだ。

ワラーチ、草鞋、man3dals、いずれもサンダルスタイルのものである。つまりアッパーがない。ヒモだけだ。


ソールのクッションをなくすだけなら、そういうシューズも出ている。ベアフットランニング用シューズと言われるものだ。
これは当然だがシューズの形なのでアッパーがある。
地下足袋もそうだろう。
あとはムーンスターのジャガー。小学生の運動靴として有名だが、沢登りの人にも人気があるシューズだ。これもとにかくソールが薄い。
とは言っても、小学生が体育で履いているくらいなので、そこまで極端に薄いわけではないが。

ここは分水嶺かもしれない。
アッパーはあっても良いのか、あってはいけないものなのか。
どこまで裸足にこだわるかの分水嶺じゃないだろうか。

ソールさえ薄ければ良いなら、ベアフットランニング用のシューズで良いわけだ。
裸足にこだわるならやはりman3dalsである。


これは指先の圧迫という観点で考えると、アッパーは無い方が良いんじゃなかろうか。


まだまだ研究が必要だ。
どうして人間は裸足で歩く、走るということが気持ちよく感じるのか。

そもそも裸足で走るのは本当にただしいことなのか。


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ちなみに今後、ブログではman3dalsのことをワラーチと書くこともある。
厳密には違うものだが、単純に文字数、書きやすさ、あと伝わりやすさの問題からワラーチと一括りにして話すこともある。

それでも、実際にはman3dalsは明確に違う履物だ。満さんの研究の積み重ねの結果であり、哲学がある。
使ってみると分かるが、使い勝手も良く実によく考えられている。

脱ぎ履きが楽というのもman3dalsの大きなメリットだろう。ゆるふわりんの副産物である。


本当はman3dalsと正式名称で毎回書くべきだが、分かりやすさ、書きやすさの都合で表記としてはワラーチと混同させて頂く。

もちろん、今日のようにワラーチとman3dalsの違いを考える時などにはman3dalsと明記するが。


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まあ、そんなこんなの1日でした。

posted by じてぼん。 at 00:02 | ベアフットランニング | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする